人知レズ

ひっそりと生きて行く。
ただ穏やかな日常があればいい。

玩具

玩具への憧れを

性友に告げてみた


「私が気持ち良くしてあげるのに

何故オモチャが必要なの?」


違うのだ

私に使って欲しいのではなく

貴女に使いたいのだ


私の稚拙な行為では

貴女を頂上へは導けない


だから安易に玩具に頼りたかった


貴女の昇りつめる表情が

見たかったのだ


「一人の行為では

何回も昇りつめるのよ」


貴女は笑いながら私に言う


「わかなのせいじゃないの。

私は攻められたくないの。

私を攻めることが出来るのは

私だけ。」


私が彼女のどこに触れようと

彼女は私の手を払いのけたりはしなかった

でもその美しい表情を

歪ませることは

私には出来なかった



一度だけ

「私の前で自慰して」

とお願いした


「わかな、なんでも言うことを聞く?」


私はこみ上げる興奮を制しながら

「なんでも聞くから」

と言った



彼女ははじめてくれた



その彼女の美しさ

陶器のような両手を動かしながら

確実に自分を高めている




「私も隣でしていい?」


興奮を抑えられない私が漏らす


「いいよ。それが私の望みだから。」




自慰行為をはじめて人にみせた


彼女はじっと私を見つめながら

まだ両手を動かしていた


私を見つめながら

大きく果てたようだ

そして間髪入れず

私をより高みへと導いた



残念なことに

二度とその行為を

彼女と味わうことはなかった


本当かどうかわからないが

彼女の果てる顔を見たのは

その時の私だけだと言った


あの美しい表情が見られるのなら

私は今でも飛んでいきたい


あの時にはわからなかった

大事にしなければいけない恋愛なぞ


いや、はたして恋愛なのか

ただの欲望なのか



私の玩具への憧れは

次第に自分のために使うものとなり


今、私の横で

出番を待ち構えている