人知レズ

ひっそりと生きて行く。
ただ穏やかな日常があればいい。

不感

「僕と付き合ってもらえませんか?」


「私は恋愛感情に乏しく、肉体関係には嫌悪を覚えるので無理ではないでしょうか?」


「貴女とセックスしたい訳ではありませんので。」


はっきりと

「貴女とセックスしたくない」

と言われた気がして

腹が立ったことを思い出す


男性の肉体には全く興味がなかったが

向こうに無関心を装われると

それもまたつまらない


「なら付き合ってみましょう」


簡単に返事をしてしまった


彼との会話は

いつも新鮮でバランスが取れていた

私が話したい時は

静かに頷きながら聞き役に徹してくれたし

珍しく彼が饒舌な時は

私が聞き役にまわる


肉体関係のない恋人同士は

食事と会話がすべてであった


私はその関係に満足しながらも

肉欲を満たす友達を探した


希望の友はすぐに見つかった


私と彼との関係を不可思議に思いつつも

私の願いは叶えてくれた


張りのある肌

引き締まった腹筋

長い指先

柔らかな舌


完璧であるはずの友は

性技に長けてはいたが

不感症だったのだ

「私の身体、好きにしていいよ」

そう言われ

口に含み

舌を這わせ

蜜が溢れるのを確かめたが

何も感じないらしい


私は喘ぎが聞きたかった

女の喘ぎに飢えていた


私はためらいもなく別の友を探した


またしても

すぐに見つかった


その人とは

一晩中絡んでいた

鎖骨の入れ墨に舌を這わせると

彼女より私が震えてしまった


そして彼女の喘ぎは

私が求めていたものだった

私の攻めに忠実に身体が反応し

遠慮がちに声をあげるのだ


攻守が逆転すれば

彼女は遠慮なく私を攻めた


果てしないと思われた行為も

朝日とともに睡魔に敗れてしまった



そんなふしだらな私が

私は好きなのだ